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売電で儲かる時代は終わり!太陽光発電は「自家消費」


太陽光発電は設置していても意味がない?、と思い込んでいる方も少なくないと思います。


今回はそんな方にぜひ読んでいただきたい内容になっています。


結論からお伝えすると「太陽光発電は設置した方がオトク」です。


ただし、設置する方法や上手な使い方があり、そうしないとオトク感が減ってしまいます。


2020年以降、太陽光発電を設置する上で知っておくべきポイントをまとめました。


まずは今回の記事の重要ポイントです。



・売電単価が下がり続けており、この傾向はしばらく続く方向性である


・既に売電単価はかなり下がっているが、一方では買電単価は上昇を続けている


・一般的な家庭であれば、太陽光発電は5kW~6kWの設置がオススメ


・エコキュート、住宅用蓄電池、EV(電気自動車)のいずれかとの併用で効果倍増



1. 売電単価は今後も下がり続ける

太陽光発電を設置した場合、この「売電単価」が1つのキーワードになってきます。


太陽光発電は日中に発電を行って、宅内で使っている電気(例えば冷蔵庫や照明などで使っている電気)へ割り当てられ、それで発電した電気の方が多くて余ると「余剰電力」となります。


宅内で消費しきれない電力である、余剰電力は電力会社が買い取ります。


この電気を買い取るときの、「単価」を「売電単価」と言います。


ひと昔前、2010年代はこの売電単価が40円台~30円台という時代もあり、太陽光発電を設置していれば、毎月数万円の売電収入が見込めました。


もっとも、その頃は今と比べて太陽光発電システム自体も高額であったため、比率としては「高いコストで設置して、戻ってくる費用も多い」という状況です。


2020年以降は「安いコストで設置して、戻ってくる費用も少ない」という状況になっています


今後予定されている具体的な売電単価は、2021年度に申し込みを行った方で19円 / kWh、2022年度は17円 / kWhとなっています。


この売電単価は年々下がり続けており、この傾向は継続していくことは、ほぼ確実です。



2.電力会社からの買電単価は上昇傾向

余剰電力を電力会社へ売る単価が下がり続けている一方電力会社から買う単価は上がり続けていることをご存じですか?


電気料金の明細もわかりにくく、電力会社からの請求額だけみて「今月はたくさん使いすぎたな」と思っているぐらいの方が多いのではないでしょうか。


実は、この明細に書かれている内容をよくよく確認すると、値上がりの真相がわかります。


出典:東京電力

この明細の中で、注目すべきポイントは「単価」、「燃料調整費」、「再エネ発電賦課金(再エネ賦課金)」です。


まず「単価」については、この明細では明示されていませんが、各電力会社が設定している単価があります。


この単価は、急に値上がりすることはありませんが、10年以上前から比べると割安と言われている深夜電力も約1.5~2倍に値上がりしています


※東京電力:2010年以前 / 9円・kWh → 2022年時点 17.78円・kWh


そして2点目の「燃料調整費」ですが、これはカンタンに解説すると「発電する原料に応じて上下するコスト」です。


身近な例で言えば、航空機の「燃油サーチャージ」のようなものです。


直近の単価(※2022年2月 東京電力)は、0.74円 / kWh!


実はこの燃料調整費は2015年中頃から、マイナスで推移してきており、実質値引きされている状態から、遂に値引き状態がなくなりました


世界的な原材料高騰・インフレ傾向が2022年以降も続くことから、この傾向は上昇する理由しか考えられません。


3点目の再エネ賦課金(正式:再生可能エネルギー賦課金)も年々上昇を続けています。


出典:北海道電力・HP/再生可能エネルギー賦課金推移

直近の単価では、2021年の3.36円 / kWhとなっています。


3円程度と聞くと高く感じないかもしれませんが、再エネ賦課金は1ヶ月の総電力使用量に掛け算で算出されます。


一般的なガス併用のご家庭で約450kWh、オール電化の家庭では600kWhが平均的な使用量と言われています。


そのため、この使用量での単純な請求額は、


ガス併用住宅で1,512円 / 月、


オール電化では2,016円 / 月 にもなります。


高級ランチに行けてしまうような金額を、毎月余計に支払っていることになりますが、これは2011年まで存在しなかった金額です。


今後、再生可能エネルギーが拡大していくにつれて、約5円程度まで拡大していくと言われています


このように、電力会社から電気を買う「単価」は上昇傾向にあり、安くなる要素は今のことろ見当たりません。



3. 一般的な家庭でのベストな設置容量は5~6kW
太陽光発電システムの事例

そこで、むしろ存在感を増しているのが「太陽光発電システム」です。


太陽光発電システムの売電単価は下がっているのに、「むしろ」という理由をみていきましょう。


太陽光発電システムの性質上、日中に発電をした電気は優先的に宅内で使われ、余ったら電力会社が買い取るという基本的なルールがありましたよね。


太陽光発電は日中に発電していれば、電気を実質タダで創り出すことができます。(設置にはお金がかかりますが)


電力会社から買う電気は高い!余らせて売っても二束三文とは言うまでも安い!


このような状況の為、太陽光発電で創り出す電気を有効的に使う、「自給自足」の考え方へシフトしています。


しかし、太陽光発電のデメリットである部分として、太陽が出ている日中でないとしっかり発電ができないことがあげられます。


このデメリットを補うものとして、住宅用蓄電池、エコキュート、EV(電気自動車)などがあります


余っている電気を売らずに、できるだけ溜めこむわけです。


ただし、今から太陽光発電を新設される方に注意してほしい点は「たくさん設置しすぎないこと」です。


たくさん付け過ぎても、一気に作る電力量が多くなるだけで、蓄電池などで受け止めきれずに結局売電に回ってしまします。


ZEH住宅でも推奨されている太陽光発電のkW数は約5kWですが、これは「太陽光発電が創り出すエネルギー」が「宅内で消費するエネルギー」を平均的に上回る容量だからです。


年間を通じて、太陽光発電の発電分と消費する量が、ほぼ同じであれば理論的にはゼロエネルギーになります。


そのため、自己消費できる分だけの搭載容量が「ちょうどいい」わけです。


もちろん、太陽光発電が設置されていても雨天時・夜間は電力を購入しないといけませんが、太陽光発電があると日中の特に単価の高い電気を買うことは避けやすくなります。


詳細については、電力会社の電力プラン・ご家庭の電気の使い方などが複雑に絡んでくるため、また別の記事で解説していきます。



4. 自家消費をいかに増やして蓄えるか

ポイントは「太陽光発電ではちょうどいい容量を載せる」ポイントを紹介しました。


ここでは、余剰電力を売らずにいかに自家消費を増やすか?を考えていきたいと思います。


仮に南面に太陽光発電が5kW設置されていると、気象条件などで左右されつつも晴天であれば、3.5kW~4kW台の発電が見込めます。


仮に4kWの発電量があったとします。


普通に日中、宅内で4人程度で暮らしていれば使用電力としては、多くて2kW程度でしょう。


4kWの発電に対して、2kWを自家消費すると、2kW残るので何もしていないと売電に回されます。


この余剰の2kWの活用法を今回はお伝えしていきます。



4-1. 住宅用蓄電池へ充電して使う
伊藤忠・スマートスター3

一番オススメの活用方法です。


蓄電池でもハイブリッド型・単機能型というタイプがありますが、いずれも全ての機種で余剰電力で充電するモードが搭載されています。


「グリーンモード」「自家消費モード」「環境優先モード」などの言い方をしますが、全て同じ運転方法で、余剰電力を蓄電池へ充電していきます。


例えば10kWhの蓄電池であれば、2kWの余剰電力で充電し続けるとカラッポから満充電まで約5時間です。


朝9時から充電したと仮定すると、14時ぐらいには満充電になっている計算です。


10kWhあれば、深夜電力の時間帯を除く夜間の電力をおおむねカバーできるでしょう。


機種によっては、深夜電力でも充電できるモデルもあるため、翌日は雨天などで発電が見込めない場合は深夜電力で充電し翌日に活用したりできます。


特に、ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電との連携も上手なため、普段使い・停電時の両方でストレスが少なく使えます。


ハイブリッド型・単機能型の違いなどはまた別記事で紹介していきます。



4-2. エコキュートへお湯として変換させる
パナソニック

エコキュートは、深夜に安い単価の深夜電力を利用して、お湯を沸かして貯湯タンクにためておく使い方が一般的です。


ただ、深夜電力ですら値上がりしている状態の為、太陽光発電の余剰電力を活用する動きが出てきています。


最新の各社のエコキュートでは、太陽光発電の昼間の余剰電力でお湯を沸かせるモードが搭載されている機種がかなり多いです。


HEMSもしくはスマートフォンと、エコキュートが連携していることが前提ですが、翌日に晴れると判断した場合、深夜電力で沸かす量を最小限にします。


そして、翌日晴れて余剰電力が発生する時間帯に、沸き上げ運転を行って、余剰電力をうまく活用します。


おおむね2kWの出力があれば、数時間で1日の使用湯量まで回復できるでしょう。


ただ欠点もあり、急に曇ったりすると電力会社からの電気に自動的に切り替わるため、天気の急変には注意が必要です。



4-3. EVへ充電しガソリン代の代わりへ
日産リーフ

2020年代以降、普及が見込まれているEVへ余剰電力を充電すると、車の走行エネルギーとして活用できます。


EVは車種にもよりますが、充電量を調整できる車種もあるため、例えば2kW(200V×10A)の充電を6時間できたとすると、12kWhの電力をEVへ充電できます。


例えば日産リーフであれば、約75km走行できるエネルギーになります。


※電費:150w / kmで試算


昨今はガソリン代も高くなってきているので、ガソリン代として考えると750円分(リッター15km・150円/L 換算)を補充できることになります。


平日は車をあまり使わない、という方であれば週末の買い物や旅行で使う走行エネルギーは、太陽光発電で計算上は十分まかなえるのではないでしょうか。



5. まとめ

このように、


・太陽光発電の設置は「買電が高い」という理由で設置した方がよく、


・ただし、単独で使っているとオトク感が少なく自家消費できるものとの組み合わせが大事


ということが分かりましたでしょうか?


それでは、今回の記事のポイントを再度、おさらしておきましょう。

・売電単価が下がり続けており、この傾向はしばらく続く方向性である


・既に売電単価はかなり下がっているが、一方では買電単価は上昇を続けている


・一般的な家庭であれば、太陽光発電は5kW~6kWの設置がオススメ


・エコキュート、住宅用蓄電池、EV(電気自動車)のいずれかとの併用で効果倍増




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